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2021/12/20

Daily Cargo 2022年4月28日

n.shuhai
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航空集配サービス
生鮮保冷機能、医薬品扱いを強化

 航空集配サービスは成田空港隣接地で、フォワーダーの荷役業務などを行う「成田ロジスティクス支店」(芝山町岩山)と航空輸入生鮮食料品をメインに扱う「成田支店」(芝山町香山新田)の2拠点体制で業務を行っている。

 成田支店では昨春に、品質性能向上を目的として、温度管理設備の改修を実施するとともに、需要の多い10度、5度のクール室/冷蔵庫の面積を拡大した。現在の温度管理設備は、18度が820平方メートル、10度のクール室1820平方メートル、5度が1785平方メートル、2度が195平方メートル、マイナス5度が200平方メートルだ。品質維持に対するニーズの高まりから、商品特性に合った保管・作業スペースを用意している。

 2021年度(21年4月~22年3月)の成田支店の取扱量は、前期比5%ほど増加したが、新型コロナウイルス感染症流行前の水準を下回る結果となった。航空輸送スペースの縮小や外食産業の低迷などで成田支店の輸入生鮮食料品の取り扱いは減少している。

 こうした状況を踏まえ、同支店では千葉・茨城エリアの地場農産品、食品や加工食品原料などの国内輸送需要の取り込みを図っていく。同支店には冷蔵保冷輸送が可能な車両を含む9台のトラックを配置しており、車両の稼働を高めて対応する。同支店の津本雅弘支店長は「当社は全国配送網を有し、ニーズに幅広く対応できる点で顧客にメリットを提示していく。成田ロジスティクス支店と連携し、潜在的な輸出入需要の開拓にもつなげたい」としている。

 同社では20年7月に、従来の生鮮営業本部、ロジスティクス営業本部を発展的に解消し、新たに東日本営業本部、西日本営業本部として組織を再編した。生鮮事業とロジ事業間の連携が強化され、成田地区での効率的な施設活用や、営業面で成果が出ているという。

成田ロジスティクス支店では、フォワーダーの共同施設として、検量・検尺、ラベル貼付、梱包、検品、保管・在庫管理の他、ULD貨物の組み付け・解体などの物流サービスを提供している。倉庫面積は1万3595平方メートル、保税蔵置場許可面積は1万6600平方メートルだ。顧客フォワーダーが取り扱いを伸ばしていることもあり、21年度の取り扱いは好調。近年注力している医薬品の取り扱いも増加した。

 同支店では5年ほど前から医薬品専任チームを設け、GDP(医薬品の適正流通基準)ガイドラインに準拠した自社QMS(品質マネジメントシステム)の構築など品質向上に取り組んできた。18年には3温度帯対応の医薬品専用庫を増設。さらにソフト面・ハード面双方の強化を進め、医薬品の取り扱いは直近4年間で3倍以上に増加した。同支店の佐藤佑樹副支店長は「GDP(医薬品の適正流通基準)対応など先行して取り組んできたものの、求められる品質水準は年々高くなっている。温度管理方法や輸配送面など、さらなる品質向上に向けて取り組んでいく」と意気込む。

 直近の具体的な取り組みとしては、医薬品専用の自社車両導入を計画している。現在、医薬品の輸配送は協力会社に全て委託しているが、自社車両を導入することで、顧客のニーズに対して柔軟に対応できるようにしていく。また、アクティブ/パッシブ型の温度管理コンテナ・容器の対応も進める。「様々なサービスやソリューションの扱い実績はあるものの、新規参入も増えている。フォワーダー共同上屋として、どんなサービスにも幅広く対応できる体制を整えていく」(佐藤副支店長)。

 また、同社では昨年4月、多摩ロジスティクスセンター(東京都国立市)でAEO制度の特定保税承認者(AEO倉庫業者)の承認を取得したことを機に、首都圏における輸出貨物の集荷サービス窓口を同拠点に集約。これまで成田ロジスティクス支店で行っていた輸出貨物の集荷業務も多摩に移管した。業務集約による配車効率向上など成果が出ているが、今後はより柔軟な輸配送サービスが提供できるよう、さらに統合効果を発揮させていくという。

 

写真キャプション
成田ロジスティクス支店の医薬品専用庫「K-COLD」