Daily Cargo 2024年6月24日
kikaku
成田・大型医薬品施設が本格稼働へ
航空集配サービスは成田地区で最大規模の医薬品専用施設を有している。以前から成田ロジスティクス支店(以下、成田ロジ支店)では医薬品用施設として「KCOLD」を運営していたが、厳格な温度管理やコンプライアンス遵守の取り扱いが求められる医薬品の物流需要の増加に対応して、施設を大きく増強。昨年11月に新施設「NRT-KMedical」が竣工し、成田ロジ支店の医薬品専用施設の延床面積は約2500平方メートルとなった。新施設はフル稼働に向けてバリデーションなどを進めてきたが、今春より順次、医薬品の取り扱いを始めている。7月以降夏季温度マッピングを行う予定で、終了次第万全の体制が整えられる予定だ。
KMedicalは最新鋭の物流施設となっている。冷凍・冷蔵・定温対応の5室(冷凍1、冷蔵2、定温2)と急激な温度変化を防ぐための前室2室の計7室の構成だが、前室にはそれぞれ、トラック後部を直接ドックインできるエアシェルターを設置。さらに外気流入や塵芥、虫の侵入を防止するエアフェンスを設置し、極力内部温度や衛生環境を維持する設計としている。また、各庫には空調設備とエアー搬送ファンを室内に満遍なく配置して、温度ムラを解消させている。停電時に48時間の全設備稼働を維持する非常用電源も設置した。
モニタリング体制も整っており、計測器メーカーのヴァイサラ社の高品質モニタリングシステムを採用。リアルタイムでの温度・湿度のモニタリング、データ取得ができるもので、電子記録・電子署名に関する規則Part11に対応し、GxP(各種医薬関連法規制・基準)に準拠した文章作成が行えるほか、データ改ざんが不可となっている。セキュリティ面でも入退室管理システムを導入した。
今年度中には自社医薬品専用車両を導入し、輸送サービスも強化する。医薬品の専用施設と専用車両での輸配送を組み合わせた、取り扱いサービスを新たに提供する計画だ。
同社は輸出オペレーションシステム「シューバード」を展開することでサービスの利便性向上を図っている。搬入貨物の外装写真やデータを共有できるプラットフォームで、顧客との情報共有を高度化した。施設とともにシステムのレベルも高め、高いレベルのオペレーションを構築できるようになっている。
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ドックシェルターを備えるなど高機能な施設となっている