Daily Cargo 2024年8月15日
kikaku
高機能施設生かし関西発着取り込み
航空集配サービスは温度管理や危険品の扱いが可能な高機能施設を生かし、関西発着貨物の取り扱い拡大を進めている。関西発着の荷動きは足元で緩やかな回復傾向にあるものの、コロナ禍のピークと比べて低調に推移している。一方、生鮮品や危険品など温度管理が必要な貨物の取り扱いは堅調に推移しているという。特に生鮮では米国など増加がみられるレーンへの対応を強化して、需要の取り込みを図っていく。また、成長の続くeコマース(EC)貨物への対応も引き続き強化していく。
同社は関西国際空港内で生鮮上屋(1棟賃借)、第1輸出貨物ビルの定温倉庫「KIX-Coolexp」、第2国際貨物代理店ビル内の施設、計3施設を運営し、輸出入貨物の物流・荷役業務と輸入生鮮の扱いを行っている。関空拠点での陣容は、物流・荷役業務(SP含む)を手掛ける関空ロジスティクス支店で50人強、輸入生鮮を扱う大阪支店で40人ほど。派遣を含めて繁忙期などは100人以上の陣容だ。
KIX-Coolexpは定温、冷蔵、冷凍の3温度帯対応が可能な輸出用保税上屋として2015年に開設。同施設の強みについて、荻俊雅関空ロジスティクス支店長兼大阪支店長は「貨物に適した温度帯で保税にて保管できることに加えて、リアイスなどの加工が可能だ」と話す。近年の気温上昇でリアイスの需要も増加しているという。生鮮輸出では昨年、中国が日本産水産物の輸入規制措置を発動し、同国向けで影響があったものの、他の国・地域向けの引き合いが増えているという。輸出生鮮食品の加工については仕向地国での加工施設認可が必要となるところが多いため、市場近くの加工場で実施しているケースが多い。
航空集配サービスでは現在、中国・米国・ベトナム向けの認可を取得しており、市場からの直接搬入が可能になるなど、横持ちのリードタイム、コストの低減が可能となる。今後需要に応じその他の国・地域向けの諸認可の取得も進めていく方針だ。
温度管理施設を生かし、医薬品の取り扱い拡大も図っていく。同社では成田空港近郊に、成田地区最大級の医薬品専用施設を設けており、医薬品の取り扱い実績がある。東西の連携を強化して、ノウハウや知見を共有していく。既に一般貨物として医薬品の取り扱いもあり、今後保冷梱包やGDP(医薬品の適正流通基準)が求められる貨物についても、対応を検討していくとしている。
EC対応強化で自動仕分け機導入
関空拠点ではEC貨物の需要取り込みも図っていく。同社では10数年前から輸入SP(スモールパッケージ)事業として、関空を基点に小口貨物の扱ってきた。直近数年はEC貨物の拡大で、取り扱いが大きく伸張している。NACCSと連動する入出庫システムを導入して扱っており、関空拠点では海上貨物のSP貨物も扱う。
この6月には、自動仕分けシステムも導入。労働力不足への対応と効率性の向上を目的としたものだ。輸出SPの取り扱いも増加しており、輸出入ともにさらなる取り扱いの拡大を目指してくという。
同社はまた、伊丹空港内で伊丹空港ロジスティクスセンターを運営している。同センターは冷蔵庫・空調室を備えた温度管理貨物施設として、伊丹空港発着便をはじめとした国内貨物を取り扱っている。物流の2024年問題によるトラック、人手不足といった課題に対し、関空と伊丹の拠点でも連携を図り、効率的なオペレーションを提供していくとの意向だ。
キャプション
荻俊雅支店長
関空施設に自動仕分けシステムを導入した