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関空に輸出専用上屋開設

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関空に輸出専用上屋開設
「KIX-Coolexp」稼働
一貫温度管理 生鮮輸出増へ

片岡正宏執行役員ニュース国際貨物ターミナル地区

航空集配サービスの大阪支店は、関西国際空港国際貨物地区の第1輸出貨物ビルに、新たに輸出専用上屋「KIX-Coolexp(キックス・クーレックス)」を開設する。今月31日からサービスを開始する。同社は従来、同地区で生鮮上屋を1棟賃借し、日本の空港内で最大規模の定温庫を運営してきたが、需要増加や今後の営業拡大も見据えて決めた。上屋規模は約3000平方メートル(ひさし下を除く)。温度調節機能を完備し、全国と関空を結ぶ一貫した温度管理の輸出体制を構築する。関西空港では官民一体での日本食の輸出促進の取り組みが進んでおり、新上屋でも積極的に連携を図っていく。

新上屋はランプサイドに面してはいるが、ランプサイド側は閉鎖し、利用はしない。全面を輸出入保税蔵置場とする。上屋内は設定温度により区画を厳密に分けており、定温庫が三つ(18~22度設定)、冷蔵庫が一つ(1~10度設定)、冷凍庫が一つ(マイナス20度~マイナス1度設定)ある。これら温調庫全体の規模は約2000平方メートル。そのうち、冷蔵庫の面積は297平方メートル。生鮮貨物を中心に取り扱う。コンテナごとに搬入することも可能。また、十分なスペースを生かし、梱包、保管、ビルドアップもできる。冷凍庫の面積も100平方メートルと大型だ。フォークリフトの出入りも可能であり、パレット貨物の保管もできる。新上屋には、これら施設への貨物搬出入時の温度変化を防ぐために前室(15~22度)も設置した。新上屋ではまた、温度管理システムを完備し、温度データの詳細を記録するとともに、防犯カメラなどのセキュリティーも整える。生鮮食品、医薬品関連商品、ドライ貨物などさまざまな輸出貨物を取り扱う。

同社は既存の生鮮上屋では、生鮮を中心とした温度管理が必要な輸出入貨物およびドライ貨物を取り扱ってきたが、需要増加に伴い、手狭感が出ていた。一方、日本政府が日本の農水産物・食品の輸出促進に取り組んでいるほか、関西地域では関空活用の一環として生鮮食品の輸出拡大策が着実に進展している。生鮮輸入で培ったノウハウを輸出にも生かしていく方針を決めた。

生鮮・食輸出では、荷主、代理店、卸売市場などで引き受けた貨物を航空会社に引き渡すまでの一貫したクールチェーンを構築する。大阪府中央卸売市場を含めた大阪府内の市場と関空間で既に運行している市場便、混載集荷便などの輸送サービスも拡充する計画だ。空港内の輸出専用上屋を活用することで、検疫業務の迅速化や出発便の直前まで保管が可能となる。

片岡正宏執行役員生鮮営業本部副本部長大阪支店長は「品質面をさらに高め、安心、安全を徹底し、現地到着までのクールチェーンの構築に貢献できると考えている」とする。輸出貨物取扱量は「今後、最低3倍には持っていける。早期に4~5倍としていく」(大阪支店)という。

関空での食関連では「国際物流戦略チーム」(本部長=森詳介・関西経済連合会長)による「関空物流ニュービジネスモデル促進事業」で認定を受けた▽関空ハラール物流準備委員会=関空における「ハラール」物流構築にも参画している。新上屋でも今後、ハラール対応を図っていく。

同社は2005年7月、同地区の生鮮上屋内で生鮮貨物取り扱い施設を開設した。日本の空港内の低温施設としては最大規模。06年2月、同上屋に入居していた日本通運がスペースを返却したことを受け、賃借スペースを増やし、同3月から全棟を借り切る体制となった。同上屋ではコンピューター制御でのきめ細かな温度設定により、生鮮貨物に加え、精密機械などのドライカーゴまで取り扱っている。

同上屋の規模はクール室(15~20度設定)が3200平方メートル、冷蔵庫は1度設定が約84平方メートルおよび5度設定が約127平方メートル、冷凍庫(マイナス1度設定)が112平方メートル、保税蔵置場面積が5156平方メートル、製氷機の1日あたりの製氷能力は12トン。