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AEO取得・追熟庫設置

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AEO取得・追熟庫設置 


 航空集配サービスは4月14日、東京税関からAEO制度に基づく「特定保税承認者」の承認を受けた。丸2年の準備期間をかけて、取得に取り組んだ背景には、ターミナル事業のさらなる強化がある。
 成田ロジスティクス支店は、成田エアポート物流ビジネスセンター(旧GLP成田、千葉県山武郡芝山町)の1階スペースを全て賃借し、自社上屋を構えている。保税蔵置場の面積は1万1465平方メートル。同施設をベースに、フォワーダーからの依頼を受け、保税業務・保管・集荷・梱包を手掛けている。総顧客数は、一時利用も含め約40社。そのうち、約20社からは成田空港外での全ての業務を受託している。
 三浦敏明取締役執行役員は「昨年10月に輸出入申告の官署自由化が施行されたことを受け、今後、輸出航空貨物をフォワーダーやターミナル会社などの保税蔵置場に搬入し、輸出申告を行う方法が変化していく可能性もある。また、競合他社は先行してAEOを取得している。当社もAEO事業者として、セキュリティー強化と適正な保税蔵置場の運営を図り、環境の変化に柔軟に対応しながら、フォワーダーへの営業を強化していく」と語る。
 同支店の陣容は約90人。そのうち、社員は約半分。顧客案件ごとに4グループがあり、取扱量が伸びる中、作業状況の情報共有を図り、グループ間での人員や上屋内のアロケーションを調整している。また、タイトな状況時には、「例えば、多摩ロジスティクスセンター(東京都国立市)や幕張ロジスティクスセンター(千葉県習志野市)での一次加工後、同支店に搬入するなど、工夫している」(川嶋健善成田ロジスティクス支店副支店長)とする。
 輸入では医薬品関連の引き合いが多い。同支店では、保冷倉庫を活用したクールチェーン・サービス「K-COLD」を提供している。施設機能は、定温庫(設定温度は19度、約264平方メートル)、冷蔵庫(5度、約211平方メートル)、冷凍庫(マイナス20度、約23平方メートル)、前室(19度、約66平方メートル)。三浦取締役は「顧客は、GDP(医薬品物流に関する基準)対応のターミナルを探しているが、大手フォワーダーの空港外施設を除けば、成田は空港内外とも実質的には、ない。当社は関西空港での実績もあり、顧客から成田でもという依頼がある」とする。
 成田空港外では、生鮮関係での投資も行った。生鮮営業本部成田支店は、芝山鉄道の芝山千代田駅近くに、物流センターを構える。敷地面積は約1万5000平方メートル。陣容は社員が約50人、派遣・アルバイトが約50人、請負会社が約70人、総勢約170人だ。取扱量では、輸入の本マグロが減少傾向にある一方、アスパラなど青果物の輸入が10~15%増で推移している。
 取扱量全体の品目別割合は、青果物が約60%を占め、水産類が約30~35%、花き類が5~10%。青果物は倉庫での一時保管が必要だが、保管能力は限られる。
 ただ、現在の物流センターの有効活用や営業拡大に向け、今年5月から追熟庫を設置した。投資額は約3000万円。輸入されるマンゴーやアボカドなどは、海上を中心に一部は航空で日本に到着する。その後、甘さや柔らかさの具合などを調整する追熟を行い、最適な状態で顧客に出荷する。物流センターでは従来、到着後、常温のまま保管し、品質確認後、出荷していた。追熟庫では、適正な温度の下、例えば、3~5日の短期間で追熟し、一期に冷却して出荷することが可能となる。海上貨物の案件も積極的に取りに行く。
 輸入ではまた、「加工」需要も注視していく。すでに、1次加工として、輸入貨物を店舗ごとに仕分ける業務などは手掛けている。今別府格成田支店長は「野菜のカットやサラダ製造などは手掛けていない。量販センターや仲卸業者とも人手不足で、カット業務などに苦慮しているため、アプローチも考えていく」と語る。


写真キャプション
(写真左から)今別府格成田支店長、三浦敏明取締役執行役員、川嶋健善成田ロジスティクス支店副支店長