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【航空集配サービス特集】 多摩ロジセンターでAEO取得 集荷窓口集約でネットワーク強化 Daily Cargo掲載

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伊橋佳宏所長    

航空集配サービス特集
多摩ロジセンターでAEO取得 集荷窓口集約でネットワーク強化 

 航空集配サービス(千葉県習志野市、堀越大吉郎社長)は首都圏での配送ネットワークを強化している。
4月1日付でAEO制度の特定保税承認者(AEO倉庫業者)の承認を取得した多摩ロジスティクスセンター(東京都国立市、以下、多摩LC)に、輸出集荷業務の窓口を集約するとともにサービスを拡充。保税蔵置場とAEO倉庫業者のメリットを生かし、成田空港や羽田空港、首都圏主要港から輸出される貨物の物流拠点として多摩LCの活用を進めていく。


 同社は従来、成田空港近郊の成田ロジスティクスセンター(以下、成田LC)と多摩LCの2拠点に窓口を設け、東日本エリアの輸出貨物の集荷業務を行っていた。
東京、神奈川エリアの大部分は多摩LCが窓口を担っていたが、両都・県の東部など一部は成田LCが窓口となっていたため、集荷エリアに重複している部分もあった。窓口の集約により、効率的な集荷が可能になる他、複数拠点のある荷主は窓口を一本化することで業務を簡素化できる。なお、輸入貨物、医薬品の集配送業務の窓口は引き続き成田LCが担う。

 多摩LCの伊橋佳宏所長は「スピード感と品質を重視した集荷サービスを提供していく」と話す。
1都3県の一部地域では低コストで空港・港への当日搬入が可能。具体的には東京23区(杉並区、練馬区、世田谷区を除く)、神奈川県横浜市・川崎市(一部地域除く)、埼玉県東部、川口市、戸田市、蕨市、千葉県浦安市、市川市、船橋市、習志野市が対象。午前中までの依頼に対応する。
品質面ではドライバーの固定化により、他社との差別化を図っているという。

 集荷機能の集約により、今後さらにサービスの拡充を図っていくとの方針だ。
顧客ニーズへの柔軟な対応に加え、都心エリアへの集荷多頻度化や、集荷エリア拡大などを検討しているという。

 加えて多摩LCではAEO倉庫業者の認定により、AEO輸出者の資格を持つ荷主に対しても、集荷から一時保管、航空会社上屋やコンテナヤード(またはフォワーダー施設)への搬入まで、ワンストップのサービスが提供できるようになる。同施設ではこれまでにも一部荷主の貨物を一時保管し、出荷指示に応じて航空・海上貨物に仕分け・梱包し、空港・港へ搬入するサービスを展開しており、AEO取得によりさらに活用を進めていきたいとしている。
伊橋所長は「保税倉庫を利用し、検量・検尺や梱包を多摩LCで実施して直接航空会社上屋へ搬入することで、成田空港へ搬入する通常のスキームと比べて半日~1日程度のリードタイム短縮が可能。また、空港・港への輸送は保税輸送となり全体コストを下げることも可能だ。より多くの荷主やフォワーダーに利用を呼びかけていく」と話す。


保税倉庫でBCP活用促進

 多摩LCは敷地面積約5000平方メートル、倉庫面積約2000平方メートル(すべて保税)。保冷施設も備える。
国立インターチェンジから約1キロメートルに位置し、東京・埼玉・神奈川からの集荷拠点として好立地にある。開発の進む圏央道へのアクセスにも優れる。成田空港へは車で2時間程度、羽田空港へは1時間弱だ。多摩エリアに保税機能を備えた共同施設は少なく、航空・海上の両モードを利用する輸出荷主にメリットが出せるという。

 同施設は多摩営業所を移転するかたちで2006年4月に開設。輸出貨物の集荷(混載・全国チャーター)、一時保管、検量・検尺、梱包などの業務を手掛けており、18年10月には保税蔵置場の許可を取得し、航空・海上貨物の保税保管業務を開始した。場所柄、海上貨物も多く取り扱っており、航空貨物と海上貨物の割合はほぼ半々となっている。海上コンテナのバンニング・デバンニングにも対応する。主な取扱品目は自動車部品、電子部品、医療機器など。

 伊橋所長は「BCP対応としての活用を促していく」と話す。
特に現在はコロナ禍で海上から航空へ貨物がシフトするなどの動きが多くみられており、双方に対応できる同拠点のメリットは大きい。
また成田地域が台風に被災した19年秋には、一時保管のスペースがひっ迫した成田地域の受け皿として機能したという実績もあるという。

 多摩LCでは成田LCと同様に、航空輸出貨物専用の入出庫管理システムを完備。デジタル入庫サービス、WEB出庫サービスを提供し、システムでの自動ラベル作成など荷主の輸出手続きの簡素化を支援する。集荷依頼についてもオンラインでの受注が可能だ。配車業務のデジタル化を視野に入れており、さらなるサービス強化に取り組んでいくという。「集荷や入出庫の窓口はデジタル化できているが、配車手配などはまだアナログで紙ベースとなっている。配車業務をデジタル化すれば料金の自動見積もりなどができるようになる。新たなメリットを提供していきたい」との意向だ。



写真キャプション1
伊橋佳宏所長

写真キャプション2
多摩ロジスティクスセンター外観

写真キャプション3
保税倉庫で自動車部品、電子部品、医療機器などを取り扱う