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【航空物流最前線~成田編~】航空集配サービス 医薬品好調、サービス拡充にまい進 Daily Cargo掲載

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【航空物流最前線~成田編~】航空集配サービス
 医薬品好調、サービス拡充にまい進 

 

 航空集配サービスの成田ロジスティクス支店は、医薬品の取り扱いを大きく伸ばしている。GDP(医薬品の適正流通基準)やコンプライアンスに対する意識の高まりから温度管理下での保管需要が増加しており、今年1~3月の医薬品の取り扱いは前年同期比で件数約3割増、重量約8割と急増した。川嶋健善執行役員・東日本営業本部副本部長・成田ロジスティクス支店長は「GDPに準拠した物流サービスの需要は増加しており、一層のレベルアップを図ることで引き続きフォワーダーや製薬会社を支援していきたい」と話す。

 

 同社は成田空港近郊に自社施設「成田ロジスティクス支店」を設け、フォワーダーの共同施設として、ULD貨物の組み付け・解体や検量・検尺、ラベル貼付、梱包、検品、保管・在庫管理などの物流サービスを提供している。倉庫面積は1万3595平方メートルで保税蔵置場許可面積は1万4379平方メートルだ。

 同施設では医薬品専用の3温度帯倉庫「KCOLD」を運営。近年の医薬品取り扱いの増加から、昨年には倉庫面積を拡張した。現在の規模は、冷蔵(プラス2度~プラス8度)が475平方メートル、定温(プラス15度~プラス25度)が264平方メートル、冷凍(マイナス20度)が23平方メートルとなっている。前室(66平方メートル)も設けられており、貨物が直接外気に触れない仕様となっている。

 医薬品の取り扱いは2020年度に急増したという。18年末に日本版のGDPガイドラインが発出され、徐々にGDPに準拠した物流管理や温度管理保管の需要が増加。フォワーダー企業もグローバルで医薬品関連の強化が進んでおり、高機能・高品質な温度管理設備の引き合いが増えている。国際航空運送協会(IATA)の医薬品輸送品質認証「CEIVファーマ」やGDP認証を取得する企業も同施設を登録倉庫として利用しているという。

 今後一層の医薬品需要が見込まれることから、ソフト・ハードの両面で機能拡充を進めていく意向だ。医薬品の取り扱いや基準に関する世界的な動向をフォローするとともに、作業スタッフ、営業スタッフの教育を充実させ、全体的なレベルアップにつなげる。また医薬品専用の自社車両の導入も検討している。現在、温度管理が必要な医薬品の集荷・配送は複数の協力会社との連携でサービスを提供しているが、自社車両によりニーズへの柔軟な対応を図っていきたいとの意向だ。川嶋執行役員は「ここ数年で取り扱いは伸びており、今後も期待している。倉庫スペースも日によって満床となっており、増床も検討していきたい」としている。

 海上輸送からのシフトなど直近の航空輸出需要の増加により、医薬品以外のドライ貨物の取り扱いも好調だ。旅客便の減便・運休や航空会社上屋のひっ迫など航空貨物オペレーションに混乱も見られているが、同支店は数年前から貨物状況を可視化できる入出庫管理システムを導入しており、顧客からの評価を得ている。

 同システムは貨物と情報を入庫ナンバーで紐付けて管理するもの。ハンディ端末で荷姿やケースマーク、ダメージなどの写真を撮影し、登録された情報をPDFで顧客にメール送信するほか、ウェブ上でリアルタイムの状況確認や出庫指示が可能となっている。またオペレーション面でも、貨物情報をデジタル管理することで、転記ミスなどの削減や業務効率の向上につながっているという。今後は、同システムを医薬品の取り扱いに対応させるなど、機能拡充も検討したいとの意向だ。

 同社はまた、4月1日付で多摩ロジスティクスセンター(東京都国立市)がAEO制度の特定保税承認者(AEO倉庫業者)の承認を取得。貨物の集中で保管スペースがひっ迫する成田地域の受け皿としても、同センターの活用を進めていきたいとしている。





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川嶋健善執行役員

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成田ロジスティクス支店は医薬品専用の3温度帯倉庫がある