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成田最大級の医薬品専用庫が竣工 Dairy Cargo掲載

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成田最大級の医薬品専用庫が竣工


 航空集配サービスが成田空港近郊に構える「成田ロジスティクス支店」(千葉県山武郡芝山町)で開発していた温度管理施設「NRT-KMedical」(以下、Kメディカル)と「KCOLD3」が竣工した。KメディカルはGDP(医薬品の適正流通基準)準拠の医薬品専用庫で、同支店内の既存施設「KCOLD1」と合わせて約2500平方メートルと、成田地区の医薬品専用施設としては最大級となる。スペースを大きく広げたほか、最新鋭のモニタリングシステムを導入。ハード、ソフトの両面で高スペックなサービスを提供する。

高品質モニタリングシステムを導入

 成田ロジスティクス支店においては、医薬品専用の「KCOLD1」(延べ564平方メートル)と一般貨物用の「KCOLD2」(749平方メートル)で医薬品や温度管理貨物を扱っていた。それら貨物や付帯作業・サービスのニーズ拡大から、入居する成田エアポート物流ビジネスセンターのスペースを借り増しし、新たに施設を開設した。

 KメディカルとKCOLD3とも、既存のKCOLD1・2と同様に入居施設の1階に整備した。Kメディカルは冷凍・冷蔵・定温対応の5室(冷凍1、冷蔵2、定温2)と、冷蔵、定温庫には急激な温度変化を防ぐための前室があり、計7室の構成。総面積は約1950平方メートル。うち冷蔵庫は約700平方メートル(前室含む)、定温庫は
約1150平方メートル(同)、冷凍庫約100平方メートル。従来のKCOLD1ではできなかった冷凍庫へのフォークリフト入室も可能となり、冷凍帯の貨物を出庫直前まで蔵置できるようになった。

 倉庫内各所には200Vの電源を計23基設置。各温度帯内でアクティブコンテナの取り扱いが可能だ。温度管理の品質においても、空調設備とエアー搬送ファンを室内に満遍なく配置して、空気を循環させることで温度ムラを解消させている。
 冷蔵、定温の前室にはそれぞれ、トラック後部を直接ドックインできるエアシェルターを整備しており、外気に触れることなく貨物の搬出入が可能。また、入り口に左右両側から平面的に送風し、外気流入や塵芥、虫の侵入を防止するエアフェンスを設置し、極力内部温度や衛生環境を維持する設計とした。セキュリティ面でも入退室管理システムを新たに導入。担当者以外、施設を開閉できない作りとなっている。

 バックアップ体制も万全としており、空調設備能力は各室余力を設け、一部故障などの際でも設定温度を維持する。停電時に48時間の全設備稼働を維持する非常用電源も設ける。温度管理については計測器メーカーのヴァイサラ社の高品質モニタリングシステムを採用。同システムはリアルタイムでの温度・湿度のモニタリング、データ取得が可能。電子記録・電子署名に関する規則Part11に対応し、GxP(各種医薬関連法規制・基準)に準拠した文章作成が行えるほか、データ改ざんが不可となっており、コンプライアンス面にも優れる。また、温度計測のロガーの校正も庫内で実施できるため、ダウンタイムを削減できる。

 Kメディカルでは12月に予定する温度マッピングに先行し、監査等の必要のない顧客の貨物から順次取り扱い開始する予定だ。今後医薬品の取り扱いは同施設をメインに、KCOLD1をバックアップとして運用していくという。

 航空集配サービスでは近年、医薬品の取り扱いに注力しており、施設増強に加えて、品質管理専門部署や医薬品専門チームを設けるほか、自社の品質マネジメントシステム(QMS)にて医薬品の取り扱いを行っている。

 サービスや品質向上にも力を入れていく方針で、医薬品専用車両の導入も計画している。来年度中をめどに車両を受領し、早期のサービス開始を目指していく。GDP認証や国際航空運送協会(IATA)のCEIVファーマ認証の独自取得も検討していくほか、国内の医薬品保管に対応するための許認可取得も進めていく。一般貨物の温度管理施設も増強

 一般貨物用のKCOLD3も冷凍・冷蔵・定温の3温度帯に対応する。総面積は約1260平方メートル。うち冷蔵が約680平方メートル、冷凍が約100平方メートル、定温が約490平方メートル。従来のKCOLD2には冷凍庫がなかったが、新たに整備した。

 10日、フォワーダーなど顧客や関係者200人以上を招き、施設内覧会と竣工記念のパーティーを開催した。堀越大吉郎代表取締役社長は「この先ブラッシュアップを進めていき、かつ精緻さを極めていかなければならないと承知しているが、現時点で選択肢の1つに加えてもらえれば幸いだ。皆さまのビジネスに存分に生かしてもらい、業界や地域の発展、ユーザーの満足度向上の一助となればと考えている」と語った。

既存施設も含め約2500平方メートルの医薬品専用倉庫となる