「物流」ができること、「物流」にできること
航空集配サービスの中部空港営業所は昨夏よりeコマース(EC)貨物の取り扱いを開始した。アパレルなどを主力商材とするEC事業者の案件を獲得し、中部空港島内に構える自社拠点で同空港に到着したEC貨物の荷受け、保税での一時保管、通関・配送事業者への引き渡しを行っている。EC事業者の直接の委託先である通関事業者と連携して取り扱い体制を構築。中国などアジアからの輸入で、多い月で5万件ほどの取り扱いがある。今後もEC関連の需要拡大が見込まれることから、ノウハウを蓄積してさらなる案件の拡大も狙っていく。同社によると同空港内の貨物施設でのEC貨物の扱いは初という。
同社は10数年前から輸入SP(スモールパッケージ)事業として、関西国際空港の自社拠点を基点に小口貨物やEC貨物を扱ってきた。関空のノウハウを生かして中部空港でもEC貨物の取り扱いを開始し、EC事業者の事業展開をサポートしていく。中部空港営業所の吉村詔治所長は「関空ではEC貨物の取り扱いで先駆者であり、ノウハウや知見を高めてきた。関空での経験者による教育などを行っており、中部でも盤石な取り扱いができる体制が整っている」と話す。
輸入EC貨物は近年急速に拡大しており、関空などではスペースや作業人員の不足もみられている。航空集配サービスとしては、空港会社や航空会社とも連携しながら、EC貨物の輸入拠点としての中部の活用促進にも貢献していきたいとの意向だ。今後、業務の効率化・迅速化を目的に、拠点内にEC貨物用の自動仕分け機などマテハン設備の導入やハンディターミナルなどの機器・システムの増強も検討していくとしている。
中部空港営業所はひさし部分含め3000平方メートル強の保税蔵置場面積があり、輸出入貨物の荷捌き(梱包やラベル貼付などの付加価値作業を含む)や生鮮貨物の取り扱い、他空港へのOLT転送、輸配送業務を行っている。施設には温度管理設備が完備されており、冷凍(マイナス5度)、冷蔵(プラス3~8度)、定温(プラス19度)の3温度帯に対応。特に定温庫は600平方メートルの規模がある。
写真キャプション
中部空港営業所